法制審議会民法(遺言関係)部会での制度改正議論について

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報告者:総務 伊藤弥生

デジタル遺言 

いよいよ、自筆証書遺言についてもデジタル化の時代がやってくるようです。法制審議会民法(遺言関係)部会では、デジタル技術を活用した新たな方式の遺言の創設、いわゆる「デジタル遺言」をメインテーマとして検討がなされています。先頃公表された中間試案によりますと、次の方法が検討されています。

  • パソコンやスマホで遺言を作成した本人が朗読する様子を録音、録画して音声や映像を記録として残すことを前提として、①本人確認のため証人の立会いを必要とする方法、②証人の立会いを不要とするものについては、顔認証などができるアプリを利用することなどを要件とする方法
  • 遺言者は公的機関へ出頭し、遺言書のデジタル記録そのものを公的機関で保管する方法
  • パソコンやスマホで作成した遺言書をプリントアウトして遺言者が署名し、公的機関で保管する方法

 いずれにせよ、遺言のデジタル化で一番気になるのは、本人の意思確認をどのように担保するのかというところではないでしょうか。自筆で遺言を書くからこそ、その過程を通じて真実性、真意性が担保される(完璧ではないにしろ)と思うのですが、ネット世代が遺言書を書くような時代には、手書きなんて面倒ということで、当たり前のようにデジタル遺言が実務の主流になっているかもしれません。今後、どの案に纏まるのか動向に注目したいです。