2024要望事項の紹介①(静岡県司法書士会)

令和6年7月19日、公明党2025度予算・税制等政策要望懇談会が開催され、静岡県司法書士会、静岡県公共嘱託登記司法書士協会、成年後見センター・リーガルサポート静岡支部、そして静岡県司法書士政治連盟の4団体が出席し、要望を行いました。(報告はこちら

これより、各団体による要望事項について、1テーマずつ紹介していきます。今回は静岡県司法書士会による相続土地国庫帰属制度に関する要望です。

1.要望事項

相続土地国庫帰属制度の申請及びその承認または不承認、却下等の結果並びに理由につき、個人情報等差障りのない限度で、事例を公表し、また、データを作成公表する等の情報公開をいただくこと。

2.要望の理由

相続土地国庫帰属制度については、令和5年4月27日施行以降、令和6年5月31日現在までに、全国で2,207件の申請が行われ、既に460件の承認が得られています

相続等により取得した土地による負担から相続人等を解放し、また、本制度を見据えることにより相続登記が未了となる事態を予防することで、所有者不明土地の解消及び予防に資する制度として、当会においても広報及び相談対応に努めているところであります。

さて、本制度について、一般の方を対象としたセミナー等での説明において、また、利用を検討中の方からの相談対応において、もっとも高い関心を持たれるのが、負担金の額と並んで、申請した後の承認の可否です。

建物と言えるか微妙な小屋等がある、担保権や使用収益権が設定されている、他人の利用が予定されている、境界が明らかでない、または隣地所有者と争いがある、崖や斜面を含む、管理を阻害する有体物が地上または地下にある、用水路等の負担金が課せられている等、却下または不承認に該当する事由が少しでも疑われるような土地については、申請してみなければ結果が予測しがたい所謂グレーな状態である土地も多く、手間や経費が無駄になることをおそれ、申請を躊躇する方も少なくないと感じますこのままでは、実際には国庫帰属が承認される土地についても本制度が有効に活用されない事態も生じかねず、所有者不明土地の解消及び予防につながらないのではとの危惧を持ちます

よって、本制度の効果的な活用に資する趣旨から、申請希望者の予見可能性を高めるための情報公開を要望いたします。