5月20日、衆議院法務委員会において民法等の一部を改正する法律案に関する参考人質疑が行われ、日本司法書士会連合会の小澤吉徳会長が参考人として出席された。
この日の委員会に招致された参考人は、小澤会長のほか、山野目章夫教授(早稲田大学法学学術院)と根本雄司弁護士(日本弁護士連合会 日弁連高齢者・障害者権利支援センター成年後見制度利用促進法対応プロジェクトチーム座長)であり、3名とも、本年1月まで開催されていた法制審議会民法(成年後見等関係)部会のメンバーとして、今回の法改正の土台となる要綱案の取りまとめに深く関わっている。
まず本記事では、委員会冒頭で行われた小澤会長による意見陳述の要旨を紹介する(成年後見関係)。
1.改正案の全体的な評価について
これまで以上に本人の希望を大切にし、必要がなくなれば終了でき、必要な支援だけを行い、柔軟な交代を可能とする「画期的な法改正」であると高く評価。

2.個別の論点
①制度利用の終了
- 法定後見制度は、必要性が失われた場合に終了できるようになる。
- 「一度利用するとやめられない」という利用への躊躇がなくなり、遺産分割協議や不動産売却が円滑に進むことで、結果として空き家・所有者不明土地問題の解決(相続登記の促進)に大きく貢献する。
②身寄りなき高齢者の支援(おひとりさま支援)
- 制度が終了すると生活に不都合が生じる方については、継続して利用できる仕組みになっている。
- 本人の状況やニーズに合わせ、一人ひとりの意思や環境を尊重した「オーダーメイドによる支援」が選択可能になる。
③補助類型への一元化と、自己決定の尊重
- これまでの後見・保佐・補助の三類型を廃止し、補助に一元化することを提案。
- 本人の自己決定の尊重と本人の保護の必要性の調和という極めて難しい理念の具現化を、時間をかけて丁寧に議論し、ギリギリのところでバランスを取った。国連障害者権利条約や利用者の人権擁護の視点からも評価できる。
- 意識障害がある方や虐待のケースなど、自ら同意を表示できない方でも、必要性が認められればスポット的に制度を利用できる配慮がされている。
④後見人の柔軟な交代
- 現行法では、後見人に不正行為などがなければ家庭裁判所による解任ができなかったが、本人の利益や状況、ニーズに合わせてより柔軟に後見人を交代できる仕組みが提案されている。
⑤任意後見制度の利用促進と監督人の負担軽減
- 任意後見制度について、海外と比べると日本ではそれほど普及していない現実。
- 普及を阻む要因となっていた任意後見監督人(見知らぬ専門職が選任され、報酬も発生)の負担を軽減するため、家庭裁判所が直接監督する仕組みや、本人の希望を家庭裁判所が考慮する規律が提案されている。
⑥専門職の役割と使命
- 超高齢社会が進み、認知症高齢者や単身世帯がさらに増加する現状を踏まえ、司法書士や弁護士などの専門職が国民の相談需要にしっかりと応え、司法アクセスの担い手として使命を果たしていく。
法務委員会における質疑の詳細は
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=56256&media_type=
を参照されたい。
(衆議院インターネット審議中継 ビデオライブラリ 2026年5月20日(水) 法務委員会13時~)