【開催報告】衆議院議員・井林辰憲先生をお迎えしての勉強会

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報告者:副幹事長 酒井壱幸

 令和8年8月7日(金)午後、藤枝市の小杉苑において、衆議院議員の井林辰憲先生をお迎えしての勉強会を開催した

井林先生は、自由民主党の所有者不明土地等に関する特別委員会の委員長として所有者不明土地問題に深く関わっておられ、司法書士の業務に関わる政策にも精通しておられる。このような背景から、今回の勉強会が企画された。

当日は、他会から参加された方含め、57名の司法書士が出席した。はじめに、静岡政連の中里功会長、日司連の小澤吉徳会長、日司政連の早川清人会長からご挨拶をいただき、勉強会が始まった。

第1部 司法書士法改正について

まず、日司連の稲本信広専務理事から、約20分にわたり、司法書士法改正の背景、現在の議論の流れ、今後の司法書士の社会的意義や役割などについて説明がなされた。

なお、稲本専務理事は熊本会の所属である。冒頭では、7月28日に発生した令和8年熊本地震による被害の状況や影響についてお話しいただいた。全国からの支援により物資はある程度確保されているものの、特に市民の方々は生活用水の不足や停電に苦しんでおり、暑さによる熱中症のリスクなど、深刻な状況にあるとのことであった。事務所が被災した会員もおり、市民の救援と並行して、会員への支援も検討されているという。

続いて、現在特に重要度の高い要望として、以下の5点が取りまとめられた旨の説明がなされた。家事事件(いわゆる別表第一)における代理権付与による司法アクセスの確保や、時代の変化に合わせた業務規制の見直しなどが、主な内容となっている。

  1. 家事事件手続における代理権の付与(成年後見、遺言検認、相続放棄など)
  2. 公共嘱託登記司法書士協会の業務拡大
  3. 司法書士法人の競業禁止義務の見直し
  4. 依頼応諾義務の見直し
  5. 司法書士業務のデジタル化の推進

第2部 井林先生のご講演

井林先生には、事前に60頁にわたる資料をご用意いただき、令和3年の民法・不動産登記法改正の内容を中心に、所有者不明土地問題をめぐる議論の背景や課題、政府の方針、問題への対応にあたっての考え方などについて、約1時間にわたりお話しいただいた。私自身、これまでにも井林先生のお話を伺う機会が何度かあったが、ご自身の率直なお考えを交えながらの語り口に、いつも興味深く聴き入っている。

お話しいただいた内容は、従来の所有者不明土地の状況と課題に始まり、法定相続情報証明制度、表題部所有者不明土地の問題と対応、国土調査、固定資産課税台帳情報の提供、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し、共有私道の問題など、多岐にわたった。

これらすべてを紹介することはできないが、個人的な気付きとして、特に以下の点が印象に残った。

・農地付き空き家の取組みについて
(参考:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk2_000095.html
空き家対策や地域活性化につなげる方策として、兵庫県では積極的な取り組みが進められている一方、静岡県ではほとんど進んでいないとのことであった(恥ずかしながら、私自身、このような取り組みがあること自体を知らなかった)。

・相続土地国庫帰属制度について
現時点では、宅地・森林・その他のいずれについても、国庫帰属後に売却に至ったものはないとのことであった。もちろん制度が開始されてまだ日が浅いという事情はあるが、この状況が続いた場合、将来的に制度にどのような影響を及ぼすか、気になるところである。

また、相続登記の申請義務化については、令和9年4月から、実際に過料の対象となり得る市民の方が出てくる可能性に触れられ、司法書士に期待される役割についても言及していただいた。

意見交換と要望事項

終盤では、静岡県公共嘱託登記司法書士協会(公嘱協会)の山﨑久紀理事長から、同協会が自治体等のニーズに応え、所有者不明土地問題の解決に貢献するための要望事項として、以下の5点が示され、井林先生と意見交換を行う場面もあった

  1. 官公署が当事者でない登記の受託を可能に(区画整理組合等からの大量の登記依頼に対応するため)
  2. 登記を伴わない相続人調査業務の受託
  3. 裁判所提出書類作成の受託(新たな財産管理制度への対応)
  4. 公嘱協会自体の財産管理人への就任(組織力で難易度の高い財産管理に対応するため)
  5. 戸籍等の取得権限の付与(受託した相続人調査を円滑に進めるため)

これらに対し、井林先生からは、公嘱協会の成り立ちの経緯やその存在意義を踏まえた、率直なご意見をいただいた。

まとめ

限られた時間ではあったが、司法書士法改正をめぐる最新の動向から所有者不明土地対策の実務に至るまで、幅広く学ぶことのできる貴重な機会となった。今回の学びを、日々の業務と地域社会への貢献に活かしていきたい。

参加者コメント

静岡県司法書士政治連盟 坪内志のぶ副幹事長

 今後の司法書士の社会的意義や役割について、改めて考える貴重な機会となり、井林先生にも司法書士法改正要望についてご理解を賜ることができたかと思います。また、所有者不明土地問題については、制度改正の流れや地域課題との関わりについても理解を深めることができました。大変有意義な時間となりました。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

静岡県公共嘱託登記司法書士協会 山﨑久紀理事長

 当協会の要望に対し、井林先生からは一定の理解をお示しくださった上で、下記の回答を頂いた。
・司法書士法改正要望を挙げている日司連との擦り合わせが必要ではないか。
・公嘱協会を各県に設置する(公嘱協会が存在しない県をなくす)ことが、必要ではないか。

 井林先生のおっしゃる通り、司法書士法改正に関する日司連との擦り合わせは必要なため、様々な機会を利用し、当協会の要望を日司連にも伝えていきたい。

 また、公嘱協会を全国すべての県に設置することにより、裁判書類作成関係業務や財産管理業務の価格の統一性を図ることが可能となり、その結果、官公署からの依頼を増やすことができるのではないかというご意見は、公嘱協会側だけでなく、官公署側からのメリットも視野に入れた考えで大変参考になった。今後様々な要望を検討していくに際し、公嘱協会側からのメリットのみならず、官公署側からのメリットも視野に入れて検討していく必要があると実感した。

藤枝市の花火大会の花火
勉強会当日は藤枝市で花火大会が行われており、会場を出たところでちょうど夏の夜空を彩る大輪の花火を見ることができた。